
8月から実施されているので、ご存じの方も多いかもしれないが阪急宝塚線 売布神社駅前の「シネ・ピピア」が、新たな試みを挑戦中だ。老朽化した座席のリニューアルと、映画館運営の継続を目的とした募金活動、その名も「次世代に繋ぐプロジェクト」映画館の灯を未来へつなぐため、地域の人々に向けて支援を呼びかけている。
地域と共に歩んできた映画館のいま
阪急売布神社駅直結、ピピアめふ5階にある「シネ・ピピア」は、1999年の開館以来26年以上にわたり、地域に根ざした上映活動を続けてきた。ミニシアター系作品やドキュメンタリー、アニメーションなど、多彩な作品を届けてきた宝塚唯一のまちの映画館だ。
小規模館ならではの親しみやすさがあり、上映後には観客同士が感想を語り合う光景もしばしば。
「映画館を通じて人がつながる場所」として、市民に長く愛されてきた。
「映画館を通じて人がつながる場所」として、市民に長く愛されてきた。
ただ、開館から四半世紀を経た現在、施設の老朽化が進んでいる。
中でも座席の劣化は顕著で、快適な鑑賞環境を維持するためには、全面的な入れ替えが必要な時期を迎えていた。
募金の概要 ― 1口1万円から参加できる「未来へのチケット」
今回の募金は、1口1万円から受付。
集まった資金は、以下の2つの目的に使われる。
① 座席のリニューアル:古くなった座席の全面入れ替えを行う。目標金額は1,000万円。
② 運営資金の補填:近年続いた赤字の解消と、今後の安定運営に充てる。目標金額は500万円。
合計1,500万円を目標に、受付期間は2025年10月30日まで。
記事を書いている10/22時点で7,626,472円
寄付は個人・法人を問わず可能で、希望者の名前は館内掲示や公式HPに掲載される予定。
映画館の活動を応援する「目に見える応援」の形でもある。
「支える映画館」から「支え合う映画館」へ
全国的にミニシアターの閉館が相次ぐ中、シネ・ピピアは地域文化の拠点としての存在感を保ち続けてきた。
館長は公式サイトで次のように語る。
「映画館は単に映画を観る場所ではありません。
感動を共有し、人が出会い、語り合う“広場”だと考えています。
その灯を次の世代に手渡したい。」
市民の間でも応援の声が広がっている。
「学生時代にこの映画館で観た作品がきっかけで映画の道に進みました」
「地方ではなかなか上映されない作品が観られる貴重な場所」
SNSには、そんな思い出や感謝のコメントが数多く寄せられている。
地域文化を支える“場”としての挑戦
シネ・ピピアでは、一般上映に加えて、舞台挨拶付きイベントやトークショー、アート作品の特集上映などを積極的に開催している。
全国公開作だけでなく、宝塚ゆかりの映画人や学生映画、ドキュメンタリーなど、
“誰かの想いを映す映画” を丁寧に取り上げてきた。
また、地元の学校や団体とも協力し、子ども向け上映会や文化講座も展開。
まちの教育や福祉、アート活動とも深く関わってきた。
今回のプロジェクトは、単なる修繕工事のための募金ではない。
「文化を次の世代に手渡す」という、映画館が掲げる理念そのものを形にしたものだ。
募金が描く未来 ― 灯を消さないために
新しい座席が設置されれば、これまで以上に快適に映画を楽しめる環境が整う。
設備の刷新だけでなく、今後は音響や照明などの改修も視野に入れており、2029年の開館30年に向けたスタートと位置付けられている。
寄付金の使用状況は公式サイトで報告され、透明性を保ちながらシネ・ピピアは、支援者とともに“開かれた映画館”として進化を続ける。
「映画館がまちにあるということは、そこに文化が息づいているということ」
宝塚の街に流れるその言葉の重みが、今回のプロジェクトのすべてを物語っている。
————————
店名:シネ・ピピア(CINE PIPIA)
住所:〒665-0852 兵庫県宝塚市売布2丁目5−1 ピピアめふ5F
阪急「売布神社駅」すぐ
TEL:0797-87-3565
公式サイト:http://www.cinepipia.com/
駐車場: 有(有料)
————————
記事/写真: YS













