第66回宝塚市展プレイバック

立春も過ぎ、暦の上ではもう春ですね。春になったら何かにチャレンジしてみたいと思っている人はいませんか。例えば秋の宝塚市展に向けて、アート作品の制作を始めてみるのはいかがでしょうか。

そこで今回は、昨年の11月2日土曜日から12日火曜日まで行われた、第66回宝塚市展を振り返ってみたいと思います。478点の応募があり、378点が入賞・入選しました。宝塚市が発足してから宝塚市とともに歩んできた宝塚市展。全国からも作品の応募があるそうです。

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ポスターデザインが、例年とはがらりと変わりましたね。宝塚市制70周年にあたり、リニューアルされたようです。デザイナーでアーティストの升田学さんのデザインで、象形文字の宝を現代風にアレンジしています。宝塚にアートという宝が集まるようにという願いが込められているそうです。

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昨年の宝塚市展会場。入口ゲートの白地に青いシンプルなデザインが素敵でした。昨年は宝塚市制70周年を記念して、市制70周年記念賞という特別な賞も設けられました。

ここでは入賞作品を代表して、市展賞と市制70周年記念賞を、各部門の審査員の先生方の講評を交えながら紹介してみたいと思います。

洋画部門(具象)
審査員講評 藤井達矢先生
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【市展賞】
赤木秀明さん 「懐古的な未来へ」(左)
若い作者であるが、まずは確かな描写力・技術力に裏付けられた画面構成に破綻はない。描き切ることで説得力は増し、みる者を異空間へと誘う。苔むす遺跡に浮かんだ光球は未来への羅針盤になるのであろうか? 問題を抱えた人間社会に、果たして未来はあるのか? 今一度長い歴史を振り返り、考えてみる必要がありそうだ。

【市制70周年記念賞】
桝本絹枝さん「行く道の草花描き秋に入る」(右)
道すがらの草花から季節の移ろいを重ね、百花繚乱。人生の旅路にも似て円熟の秋。市制 70 年を凌ぐ作者による、記念賞に相応しい作品である。0 ベースの白いキャンバスではなく、あえて板に描くことで独特の空気感・透明感を醸し出し、それぞれの季節に開いた花々の瑞々しい生命観を多重に焼き付けることに成功している。

洋画部門(抽象)
審査員講評 モリン児先生
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【市制70周年記念賞】
下千映子さん 「れ・い・ん・ど・ろっ・ぷ・す 24-3」
クラフト紙を使った掛け軸状の物で反物を連想させ、包装紙をコラージュすることで、伝統的なものと現代的センスで作品として仕上げている。色使いも良いです。

彫刻・立体造形部門
審査員講評 大野良平先生
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【市展賞】
奥田誠一さん「surface-空蝉-」
和紙を焼いて貼りあわせて形づくられた造形。表面には無数の空洞の痕跡がみられます。その空洞からは存在することへの空虚さを感じさせます。その空虚さこそが作家が表現したいことだったのではないでしょうか。手法の面白さにおいても秀逸です。

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【市制70周年記念賞】
大西桃子さん「PM3:00」
石膏で形づくられた円盤状を3枚積み重ねている。題名から「どら焼き」を連想するかたもおられるのでは。シンプルな形の中にも抒情を感じます。照明による影に思わぬ効果が隠されていました。

写真部門
審査員講評 吉野晴朗先生
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【市展賞】
西村俊裕さん「新学期・新しい友と」
満開の桜と素朴な遊具で遊ぶ子供達とが、レリーフのように浮かび上がった画面からは、子供達の楽しい声と共に懐かしい童謡が聞こえて来るような魅力があります。

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【市制70周年記念賞】
亀田喜代子さん「あそこまで行こう!!」
空をバックに箒を跨いで飛んでいる人物は、メルヘンを感じさせながら、80周年にも行くぞ~とユーモアも感じさせています。

デザイン部門
審査員講評 相澤孝司先生
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【市制70周年記念賞】
「気分はメロウ」桑野哲夫
審査の総合的な視点から選考した。廃棄するパッケージなどの紙を巧みに構成したコラージュの表現力と人生観をかけ合わせたシャツが見事にマッチしている。

書部門
審査員講評 山下啓明先生
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【市展賞】
平岡美和さん「夕立の」
潤渇の変化に富み、線の練磨が伺えます。落款の調和もよろしい。

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【市制70周年記念賞】
畑由美さん「夏と秋と」
仮名は墨色も大切です。日頃から紙と墨の調和を体得しましょう。

工芸部門
審査員講評 香川弘ー先生/齋藤美和子先生/村岡靖泰先生
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【市制70周年記念賞】
三原航大さん「voyager」
少年の表情が難しい中、一部デザイン構成に於いて、一見アンバランスと思えるところを調和させ、全体的に調和を保っている。

日本画部門
審査員講評 山市良子先生
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【市展賞】
小脇千賀子さん「早春の風香」
画面構成、色彩配分、表現力、空気感も伝わります。

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【市制70周年記念賞】
西川左希子さん「月に舞う」
背景の樹木がうるさくならず自然。発想の面白さも魅力的。70周年記念賞として、これからも宝塚市がより良くはばたいていけるよう、選ばせていただきました。

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いかがでしたでしょうか。今年の募集要項はまだ発表されていませんが、昨年は宝塚市内公共施設にて、6月中に順次配布されたようです。チャレンジしてみたくなった人は、ぜひ応募してみてくださいね。

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展覧会名: 第66回 宝塚市展
⭐︎このイベントは終了しています
会期:2024年 11月2日(土)~11月12日(火)
会場:宝塚市立文化芸術センター
2Fメインギャラリー【洋画(具象・抽象)、書、日本画】
1Fキューブホール【彫刻・立体造形、デザイン、工芸】
1Fサブギャラリー【写真】

料金:無料
主催:宝塚市、(公財)宝塚市文化財団
共催:宝塚市立文化芸術センター(指定管理者 宝塚みらい創造ファクトリー)
後援:宝塚市教育委員会、宝塚市文化連盟
駐車場(有料):12台(1台は障がい者用駐車場)
住所:兵庫県宝塚市武庫川町7-64

お問い合わせ:(公財)宝塚市文化財団
TEL:0797-85-8844(9:00~17:30 ※日・水曜・祝日を除く)
FAX:0797-85-8873
Email:info@takarazuka-c.jp

宝塚市立文化芸術センターWEBサイト
https://takarazuka-arts-center.jp/
宝塚市立文化芸術センターInstagram
https://www.instagram.com/takarazukatac/
宝塚市立文化芸術センターtwitter
https://twitter.com/takarazukaTAC

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記事/写真 :YURIE(BRALIライター)

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