宝塚では、というよりも町中で見かける機会が少なくなってしまった古書店。
実は山本の駅前にあるのをご存知でしょうか。
ご紹介するのはこちら、「あおぞら古書店」。
阪急山本駅を北に出ですぐの線路沿い、とても便利な立地です。
今回は所長の金田さんにお話を聞いてきました。
本屋さんなのに所長?
その理由はこの本屋さんの成り立ちに由来します。
「あおぞら古書店」は本屋でもあり、作業所でもあります。
作業所とは、心身に何らかの障害を持つことにより就労が困難な人たちに仕事を提供することで、社会に出る力を養えるよう支援をする場所。
いわば自宅と社会の橋渡し的な役割を担っています。
金田さんは学生の頃、障がい児を普通学級に通わせる保護者の団体にボランティアとして関わってきました。
その後縁あって、2004年より任意団体の「障がい児(者)とともに歩む虹の会」小規模作業所あおぞらで勤務することとなり、その翌年所長に選任されます。
約1年の準備期間を経て、2006年の2月22日に「地域支援センターあおぞら」・「あおぞら古書店」をスタート。
同じタイミングでNPO法人設立の認可を受け、任意団体から「NPO法人兵庫虹の会」となりました。
そして金田さんは、この作業所を"どうせなら楽しい場所にしよう"と思い立ち、本屋さんにしてしまったという経緯です。
店内に入ると目に入るのが、大きなテーブルとイス。
このテーブルでもスタッフが作業を行います。
そして学校帰りの子どもたちや、買い物帰りの人たちに使ってもらいたいという金田さんの思いも込められています。
ふらっと立ち寄って一息つく、誰かと交流する、本を読む。
いい場所ですね。
余談ですが、店内に流れるJAZZにお隣のカラオケハウスから漏れ聞こえる、熱唱が混ざり合っています。
「まぁ別にいいか」というスタンスの金田さん。
この場所の"ゆるやかに開かれた感"は、こんなところからも感じられました。
本は1階と2階を合わせると15000冊ほどあるとのこと。
かなりの冊数ですが、こちらの古本は全て地域からの寄付で賄われています。
作業所立ち上げの際に、新聞の誌面で寄付を募ったところ約8000冊もの本が集まりました。
元々本好きな金田さん、当時山本にあったブックオフと差別化できる品揃えをしたいとの考えがありました。
最初の寄付では、それが叶う内容の本が集まり、1階では人文系の書籍をたくさん取り揃えることができたのだそうです。
小説も盛り沢山。
こちらは新書、みっちり詰まってます。
児童書もありますね。
そして辞書もありました。
集まった本は、仕分け→クリーニング→値付けというように販売できる状態にしたのち、陳列するところまでをスタッフの手で行います。
本以外にCDもたくさんあります。
古本以上に宝塚では見かけない中古レコードもありました。
1階のセレクトから外れた本は2階の「BOOK-100」で販売されています。
その名の通り"全て100円"。
お買い得です。
ここではシフトなど働く上でのルールは一切く無く、登録さえすれば自由に出入りができます。
しかしルールは無くとも自然と休憩をずらしたり、周りとの関係性を意識した行動がとれるようになるのだそうです。
ここで過ごすことで、就労に繋がるリズムが自然と身につく。
「あおぞら古書店」はいわば小さな社会のような場所。
金田さんからこんなメッセージもいただきました。
"本に興味がある方、生活にリズムをつくりたい方、一緒に働きませんか!”
山本駅周辺では、界隈のお店が集まって地域を盛り上げる"山本おさんぽマルシェ"という活動を行なっており、その一環でこのような町歩きマップも作成されています。
「この辺りには本と相性のいいカフェもあるので、文化的な雰囲気も盛り上がるといいですね」
と金田さん。
山本おさんぽマルシェの今後の活動にも注目しておきましょう。
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店名:あおぞら古書店
所在地:〒665-0816 兵庫県宝塚市平井2丁目1−2
HP:https://nijiaozorahouse
instagram:https://instagram.com/niji_aozora
営業時間:11:00~17:00
定休日:土曜日・日曜日
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記事/写真 RL