お盆が過ぎ、夏も終わりに近づいてきましたが、まだまだ暑い日は続きます。

暑い時は涼しいところで本でも読んで、知的な冒険、心の旅に出かけましょう。
夏の終わりの読書、なんかいいですよね。

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ご紹介するのは、宝塚においては貴重な存在である個人経営の本屋さん。

阪急小林駅から西に5分ほど歩くと、集合住宅であり商業施設でもあるイノタウンという"小さな町"があります。
そのイノタウン の2階の一室で営業するのが、"ワンルーム本屋"「ブックス アルペジオ」です。

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1階の看板を見て階段で2階へ上がると、もう一つ看板があり、お店の入り口まで丁寧に案内してくれます。

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お店に到着。

タペストリーには強力なウェルカム感を放つ、"OPEN !!"の文字。
そして屋号の下には"The Future is with in You!  Dive in Books…"の一文。
沁みるメッセージです。

ドアノブの下には”空調でドア閉めてるけど気軽に入ってね”という趣旨の手書きのメモが貼ってあります。
外から見えないお店の扉を初めて開ける時はちょっと緊張しますが、このメモのおかげでゆるみました。

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ドアを開けると程よく隙のある空間が現れました。
チェーン系の本屋さんとは違う、どこかほっとする様な雰囲気です。

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びっしりと本が並んでいますが、圧迫感がなく、のんびりとリラックスして本を選べる。
そんな感じが写真から伝わるでしょうか。

奥のカウンターから迎えてくれたのは、店主の植野さん。
図書館司書の資格を持ち、図書館や書店など本業界でのキャリアを経て、2020年7月に「アルペジオ」をオープン。今年の夏めでたく3周年を迎えました。

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本が好きで本にかかわる仕事を始めたものの、仕事にはのめり込めなかったという植野さん。
ある本屋に転職したことがきっかけで本屋で働くことの面白さに出会い、価値観が変わります。

そのお店は本だけではなく雑貨も扱っていて、テーマ編集で売り場を作るセレクトショップのような本屋さんでした。そして、自分たちで仕入れ先や商品を開拓し、売り場を作ってお客さんの反応も見ることができます。
この”何でもOKな自由な本屋”で働く日々は充実していましたが、時代の流れで経営が変わり”何でもOKな自由な本屋”ではなくなってしまいます。
結果、この本屋さんも退職することになりました。

その後も本に関わる仕事を続けるなか、宝塚に引っ越すことになり、物件探しでイノタウンと出会うことに。
コロナ禍の営業自粛で自宅待機の日々が続く中、自分で本屋をやってみたいという思いも膨らみます。
そんな時、イノタウンのオーナーに"ここでやれば”と背中を押され、実際に自分の本屋を開業するに至ったのでした。

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コーヒー・パン・チョコ・おやつ。
テーマ編集は「アルペジオ」の棚にも活かされています。

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そしてこちらは、”読み薬”という植野さんのオリジナル企画、薬の袋に入った中身が見えない本を、処方箋ともいえるメモを頼りに直感で選ぶというもの。

いいですね、この本の選び方は楽しくも深いです。

清荒神の「ユトリロ植物園」にも"私の植物図鑑"というテーマで選書された"読み薬"が並んでいるので、そちらも是非。

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「アルペジオ」に並ぶのは、そのほとんどが植野さん自身が中身を分かった上で、"おすすめしたい”と思える本です。
しかし稀に、自分としては引っかかるものがない本も混ざっているそうで、「お客さんがそんな本を選んだら教えます」とのこと。
親切です。

「すごい冊数を読んでる人より、かけがえのない一冊に出会えた人の方がすごいと思う。」
「自分の主観で面白いと思える本に、生涯一冊でもいいから出会ってくれると嬉しい。」

自身も何度か本に救われたという植野さんの言葉は響きます。

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amazon という強い選択肢もある中、個人で本屋を続けていくことは正直難しいと植野さんは言います。駅から離れた集合住宅の2階のワンルームという店舗環境も高いハードルです。

しかしコロナ禍の厳しい商環境においてもお客さんが来てくれて、この夏には3周年を迎えました。

この界隈には、感性の合うお店が集まっていて、あるお店に行った人が「アルペジオ」のことを聞いて来てくれるのだそうです。そしてその逆もあります。

植野さんのキャラ、選書、お店の雰囲気。
どうも「アルペジオ」は一度訪れたら気の置けない存在になるようです。

ついでに寄った「アルペジオ」で本を買い、おしゃべりを楽しみ、このお店を気に入って常連になってくれる。こんな感じでお店が回っていきます。

お話を聞いていると、地縁と人の縁でつながるという小さいながらも強い経済圏が見えたのでした。

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店を出て、なんとなく階段を振り返りました。

「アルペジオ」という本屋の雰囲気は植野さんにしか作れず、それは個人書店の醍醐味ともいえます。

宝塚のあちこちに、それぞれの個性全開の個人書店があったら楽しいでしょうね。

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店名:ブックスアルペジオ
所在地:〒665-0051 兵庫県宝塚市高司2丁目17−10 イノタウンkarakusa 204
instagram:https://instagram.com/books_arpeggio
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休

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記事/写真 RL